写真右は裸の状態のRコア出力トランスです、製品は左の角型化粧ケース入りです。
Rコアトランスは高性能なトランスとして高級HiFi機器等の電源用に用いられております。このトランスに持ちいられるRコアは継ぎ目の無い構造で優れた磁気特性を持っております。
従来、出力トランスに用いられるコアは EIコア、カットコア、トロイダルコアと進化し、出力トランスの性能を高めてきました。Rコアは従来、最も高性能とされるトロイダルコア以上の利点を持ち、出力トランスのさらなる高性能化を可能とします。
本出力トランスは弊社が設計と性能試験を行い、Rコアトランスの開発元 北村機電(株)様の実装設計により開発されました。
形式 | プシュプル型 |
出力容量 | 40W/40Hz |
1次インピーダンス | 5KΩ、UL端子(50%)有り |
2次インピーダンス | 6Ω |
周波数帯域 | 6Hz〜65KHz -1db、入力4V、5KΩ信号源 |
1次インダクタンス(H) | 最小290H、最大640H |
1次許容DC電流 | 210mA(2本分) |
1次許容不平衡DC電流 | 5mA(2.5mA以内を推奨) |
電力損失 (6Ω負荷) | 0.33db |
1次:2次間耐圧 | 2KVAC |
1次PP間最大電圧 | 1KVAC |
使用Rコア | R50 50W型コア |
形状 | 角型ケース入り、タンゴFX-40型互換取り付け寸法 |
引き出し形式 | リード線 |
外形寸法、重量 | W:83mm, D:78mm, H:107mm, 1.5Kg |
価格 | 12,400円(税込13,640円) |
6Hz〜65KHz −1dbの広帯域と暴れのない素直な高域減衰特性が特徴です。インピーダンス特性も周波数特性同様暴れがなく素直な特性をしています。平坦部のインピーダンス値は4.8KΩで仕様の5KΩより若干低い値となっています。
出力トランスの周波数特性は入力信号の大きさと駆動する信号源のインピーダンスにより変化します。
ビーム管や5極管等比較的内部抵抗の高い出力管で駆動した場合の周波数特性に相当します。
6Hz〜65KHz −1dbの広帯域と暴れのない素直な高域減衰特性が特徴です。
低域は0.4Vの低い信号レベルでも低下せず。高性能なコアにより十分なインダクタンスが得られています。
高域は90KHz〜100KHzに微少な段差があるのみで素直に落ちており負帰還を掛けるのに適した特性をしています。
3極管等比較的内部抵抗の低い出力管で駆動した場合の周波数特性に相当します。
信号源インピーダンス5KΩ時よりさらに広帯域になり、低域はどの信号レベルでも10Hzまでほぼ平坦です。
高域は85KHz −1dbまで伸びます。
PP型出力トランスの一次インダクタンスは低域周波数特性に大きく影響します。一次インダクタンスは入力信号の大きさと不平衡直流電流値により変化します。一次インダクタンス値が大きく、変化が少ないほど重厚で安定感のある音質が得られます。
RX-40-5の一次インダクタンスは最小290H、最大640Hと大変高く、かつ変化の少ない良好な特性です。従来型の出力トランスでは1クラス上の100W型の一次インダクタンス値に相当します。
しかし、不平衡直流電流に対しては大きく値が落ち込みます。実用的な最大許容値は5mAですが、Rコアの良さを引き出す為には2.5mA以下でのご使用を推奨いたします。
RX-40-5を、弊社Model4パワーアンプの試作機に搭載し特性を測りました。アンプはEL34/6CA7のプッシュプルアンプでEL34は5極管接続、最大出力は25Wの設計です。実装試験にEL34/6CA7プッシュプルアンプを選んだのはEL34が純粋な5極管で内部抵抗が高く、出力トランスにとって最も厳しい条件だからです。5極管接続のEL34/6CA7プッシュプルアンプで良好な結果が得られれば、より内部抵抗の低いビーム管や3極管ではさらに良い特性が得られます。
低域は1Wまでは10Hz-1db内で伸びています。10Wでは20Hz以下が減衰しておりコアの飽和を示しています。この事から20Hzでの最大許容出力は約10Wと判ります。最大許容出力は周波数比の2乗に比例しますので、40Hzでの許容出力は設計仕様通り40Wとなります。
高域は40KHz -3dbと5極管駆動としては良好な伸びを見せています。高域の減衰は非常に素直でピークやディップは全く見られません。
出力トランス単体ではなく5極管PPアンプとしての特性ですが、無帰還の5極管PPアンプとしては大変低歪率となっており、出力トランスの歪み自体も低く押さえられているのが判ります。
100Hzの特性が1KHzに対してあまり低下せず、コアの磁気特性の優秀性を表しています。
8dbの負帰還を掛けた周波数特性です。低域は1Wでは全く平坦です。10Wの特性が20Hz以下でコアの飽和の為に減衰するのは無帰還時と同様です。高域は60KHz −3dbまで伸びています。高域の減衰は素直で負帰還安定用の位相補正を全く必要としません。
8dbの負帰還を掛けた時の歪率特性です。10W以下の使用頻度の高い領域で各周波数の歪みが大変良く揃っており出力トランスの特性の良さを表しています。