LM3886 反転増幅 DCパワーアンプの製作
基本設計

(c) S.Yoshimoto
2026

LM3886のDCアンプ化と高音質化

LM3886は最大60Wを得られるオーディオ用パワーOPアンプです。
下図はメーカー(Ti)の推奨回路図です。


Tiの推奨回路は堅実ではありますが、入力、出力、帰還回路に3個のカップリングコンデンサがあります。
加えて入力部のバイアス電源回路も煩雑に感じます。
これらは音質に悪影響を与えていると思われます。

本機ではDCアンプとすることにより、3個のカップリングコンデンサと入力部のバイアス電源回路を取り除き
高音質を目指しました。

DCアンプとする為に
 1.±2電源とする。

 2.入力、出力、帰還回路にあるカップリングコンデンサを廃止する。
 3.出力オフセット調整回路を設ける。
を行いました。


±2電源
24V 2.2Aスイッチング電源ユニット 2台 を用い±24Vを供給します。

カップリングコンデンサの全廃
LM3886は入力段がバイポーラTrなので入力回路と帰還回路にC、Ciのカップリングコンデンサが必要です。
そこで
 入力にMOSFETのソースフォロワを追加しCを削除します。
 LM3886を反転増幅で用いて帰還回路のCiを削除します。
±2電源とし出力のカップリングコンデンサを削除します。
カップリングコンデンサを全廃できるので、直流まで増幅できるDCアンプとなります。

出力補正CRの低減と出力端Lの削除
一般的にOPアンプは反転増幅で用いた時の方が高域特性が素直です。
LM3886を反転増幅で用い出力補正CRを低減し、出力端Lを削除ます。

回路の構成

相補式ソースフォロワを入力に追加します。
下図、左がNchMOSFETによる一般的なソースフォロワ、
下図、右がNchMOSFETとPchMOSFETによる相補式ソースフォロワです。
一般的なソースフォロワではOUT端子の電位がーBiasVとなってしまい次段のLM3886の入力に接続できません。
相補式ソースフォロワではNchMOSFETのソース電位ーBiasVとPchMOSFETのソース電位+BiasVの中点から
OUT端子を取り出せるので、OUT端子の電位は0Vとなり、次段のLM3886の入力に容易に接続できます。


LM3886反転増幅回路の接続
本アンプの原型は相補式ソースフォロワとLM3886反転増幅回路の接続です。

相補式ソースフォロワの出力はLM3886の負入力(VIN)に接続します。
LM3886の正入力(VIP)は接地します。
その結果LM3886は反転増幅器として動作します。
相補式ソースフォロワの出力側抵抗器R9とR10はLM3886反転増幅器の入力側帰還抵抗器を兼ねます。
LM3886反転増幅器の利得は
  R4/(R9とR10の並列値)
となり、この回路図では20倍です。
この回路は全段が直結なので直流まで利得がありDCアンプになります。
加えて、カップリングコンデンサが全廃されるので音質的に有利です。

出力オフセット調整
PchとNchMOSFETのゲートバイアス電圧の差異やLM3886自体のオフセット電圧により出力に直流電圧が生じます。
原型の回路図では相補式ソースフォロワの出力側抵抗器R9とR10が同じ抵抗値(2kΩ)ですが、R10を可変することにより
出力に生じる直流電圧を0Vに調整します。

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