この写真は解説の為、蓋を開けています。内部には高電圧が掛かっている部分がありますので絶対に開けないで下さい。
Model6は下記の部分から構成されます。
AC100V電源配線と電源トランスを除く全ての部品は2枚のプリント基板に実装されます。 USB-DAC、真空管式ラインアンプ兼ヘッドフォンアンプ、電源回路が載った主基板と入力セレクトスイッチ、音量調整アッテネータ、ヘッドフォンジャックが載った操作基板です。
DA変換にはTi(旧B.B.)製のUSBインターフェイス内蔵DAC IC PCM2704を用いています。
パソコンからの電源供給に頼らないセルフパワー方式とし、さらにPCM2704に必要なデジタル/クロック・PLL/アナログの3電源を個別の3.3V定電圧電源レギレータから供給しています。
PCM2704 USB-DACは12MHzの発振器又は発振子を用います。
写真右が今回用いた米FOX社924B TCXO(温度補償型水晶発振器) 12MHzです。
写真左は従来の普及型水晶発振子です。
豆粒のように小さな発振器ですが、下表のように普及型水晶発振子より20倍も高精度です
FOX 924型TCXO | 普及型水晶発振子 | |
周波数確度 | +-1.5PPM | +-50PPM |
全温度範囲安定度 | +-2.5PPM | 規定なし |
全電源電圧範囲安定度 | +-0.3PPM | 規定なし |
経年安定度 | +-1.0PPM/年 | 規定なし |
1PPMは百万分の1
詳細は FOX 924Bデータシート を参照下さい。
高精度クロック発振器は2009年6月出荷分から搭載されました。
0.1W出力のヘッドフォンアンプとしてもラインバッファアンプとしても使えます。
回路構成としてはch当たり6922/6DJ8片ユニットを用いた簡単な無帰還単段アンプです。
単純なアンプですが、0.1Wの出力と十分な帯域・歪み特性を持っています。
入力側から
周波数特性
ヘッドフォン負荷(40Ω) 14Hz〜55KHz(-3dB)
ライン負荷(10KΩ) 17Hz〜33KHz(-3dB)
負荷に大きな開きがあってもほぼ同様な帯域特性を維持します。又、高い負荷抵抗時でも高域が暴れる事もありません。
ヘッドフォン負荷(40Ω)時歪み率特性
最大出力は0.1W(約5%)です。歪み方は緩慢で素直に潰れた波形になっていきます。
1KHzと10KHzは出力に比例して直線的に歪み率が下がる、教科書的理想特性です。
100Hzでは負荷インピーダンスに比してトランスの一次インダクタンスが十分ではなくなるので、歪み率は下げ止まります。それでも0.5%程度までは下がります、無帰還である事を考えれば、100Hzの特性でも十分良好です。
ライン負荷(10KΩ) 時歪み率特性
最大出力4V(約5%)です。1KHzと10KHzの出力1Vでの歪み率は0.1%台で無帰還としては驚異的低さです。100Hzはヘッドフォン負荷(40Ω)時と同じ理由で其処までは下がりませんが十分良い値です。