この写真は解説の為、蓋を開けています。内部には高電圧が掛かっている部分がありますので絶対に開けないで下さい。
左上にある5つの青い箱はカートリッジ切り替えとミュート用のリレー。その下の2個の黒い箱はMC用昇圧トランス(パーマロイL型コア製)です。
基板下側に2本の12AX7を含む増幅回路が配置されています。基板右上は増幅回路用高圧安定化電源、右中はヒーター及びロジック回路用安定化電源、右下にはリレー制御の為のロジックICが並んでいます。
Model4は下記の部分から構成されます。
筐体に取りつけられる部品を除く全ての部品は1枚のプリント基板に実装されます。 MC用昇圧トランスもプリント基板上のイコライザアンプ間近に配置されますので、外部のMC用昇圧トランスにみられる昇圧後の長い信号伝送による音質劣化がありません。
Model4の為にMC用昇圧トランスを新規開発いたしました。
78%パーマロイ(PC材)L型コアとバランス構造巻線により広帯域な周波数特性と高い外部誘導雑音排除能力を得ています。 MC用昇圧トランスの詳細は PLT-1 MCトランス解説 をご参照下さい。
1次側に10Ω巻線が2組ある構造をしており直列に接続すると、インピーダンス40Ω、1対12の昇圧比となるデノンDL-103等に適合します。並列に接続すると、インピーダンス10Ω、1対24の昇圧比となるオルトフォンSPU等に適合します。カートリッジ種による接続の切り替えは入力端子近くに配置されたリレーによって行われ、短い信号経路を実現しています。
12AX7の簡潔な電圧増幅段+MOS-FETソースフォロワから成る無帰還増幅ユニット2組でCR型イコライザを挟んだ構成です。無帰還増幅ユニットは高増幅度、低出力インピーダンス、素直な歪特性を実現しております。
特徴
Model4はミューティングとカートリッジ種選択動作を行う為の制御回路を備えています。 カートリッジ種を変更すると一旦ミューティングに入り出力を遮断、回路切り替え後、ミューティングを解除復帰しますので、演奏中でも無雑音でカートリッジ種を変更できますし、不用意な変更により大きな切り替え雑音を生じる事もありません。
制御回路は74HCタイプの標準論理ICで構成されています。1チップ・マイコンを用いれば1個のICで済む回路ですが、低レベル信号を扱うフォノイコライザアンプ内に高速のCPUクロックを持ちこむのを嫌い、あえて個別論理ICで超低速クロック(1Hz)設計としました。
イコライザアンプ回路用の300V電源、ヒーター点火用の6.3V電源、制御回路用の5V電源を備えています。いずれの電源も安定化されています。
低雑音真空管、高品質のガラスエポキシ基板、大型抵抗器、大型フィルムコンデンサ、高精度コンデンサ、タイト製真空管ソケット、金メッキ削り出しRCA端子、・・・等など。高性能な部品を多用しています。
●増幅度
増幅度 1KHz | ||
MM | 180倍 | 45db |
MC Low | 2200倍 | 69db |
MC High | 4300倍 | 72db |
●RIAA等価特性・偏差
●歪特性
(HPF)は400Hzハイパスフィルタを通し50Hzハムノイズを除いた値。
●残留雑音、S/N比
残留雑音 | ||||
無補正 | IEC-A聴感補正 | |||
MM | 0.6mV | -64dbV | 0.14mV | -77dbV |
MC High | 0.9mV | -61dbV | 0.22mV | -73dbV |
MC Low | 1.0mV | -60dbV | 0.23mV | -73dbV |
入力換算雑音 | ||
無補正 | IEC-A聴感補正 | |
MM | -109dbV | -122dbV |
MC High | -127dbV | -139dbV |
MC Low | -132dbV | -145dbV |
入力基準レベル | S/N比 | ||
無補正 | IEC-A聴感補正 | ||
MM | 5mV -46dbV | 63db | 76db |
MC High | 0.5mV -66dbV | 61db | 73db |
MC Low | 0.2mV -74dbV | 58db | 71db |